講演会の来場者は,とある韓流スターのファンとほぼ同年代の女性たちばかり.若い人の姿もちらほら見られたが,大半が中(高)年の女性だった.ベニシアさんのレギュラー番組を見ている方や本を読まれている方が多かったようだ.(私は本はまだ読んだことがない.)
今回は3年ぶりの東京講演会だったらしい.開場30分前に会場に着いたが,座席はすべて自由席ということで,すでに100人以上の人の列があった.彼女の人気の程をうかがわせる.幸運にも前から4列目で,ベニシアさんの姿がかなりはっきり見える座席を取ることができた.が,実は,会場に入る前,エレベーターでベニシアさんとご一緒していた.満員のエレベーターで,すぐ右斜め後ろに関係者の男性と並んで立っておられた.駅の改札を出てから道に迷い,予定より時間を費やしたために却ってタイミングが合って,あれほどの至近距離に居合わせられたのだと,帰宅後に思い返して驚いた.道に迷ったことも恵みだったようだ.私と目線が殆ど変わらないくらいで,英国人女性としてはごく平均的な身長の方だった.テレビは大きく映ることをあらためて実感.
ベニシアさんは,明るく,楽しくユーモアのある方で,たまに観たテレビ番組で受けた印象とは少し違っていた.いろいろなお話をされていたが,話の内容自体は,スピリチュアリズムや精神世界に馴染み深い人々にとっては特別目新しいものではなかったと思う.前半は来日までの経緯に終始した.人生は旅のようだと思う,その旅路で出会う人々との出会いから何を学んだか,といったことを中心に話は進んだ.後半では,なぜハーブを生活に取り入れるようになったか(大原には下水がないことなど)と,ハーブの効用について簡単なお話があった.スライドの映像があり,最初のところでは,イギリスの貴族の館や非常に広大な緑の庭の写真などもあって少し懐かしく感じた.が,一番印象深かったのは,講演会の締めくくりに話されたことば,「いまを生きる」(Live this moment).余命1週間と宣告されたときにしたいこと―自然と触れること,家族に優しくして,時間を共に過ごすなど―は,そのときまで待たなくても,いまだってできるはず,というお話だ.これは,ニュー・エイジでも言われており,スピリチュアリズムでも,たとえばシルバーバーチが伝えてきているメッセージと同じものだ.過去を振り返って思い煩ったり,まだ来ぬ未来を心配して不安になるのではなく,いまにフォーカスをあわせて生きる,という教えだ.さらに付け加えるならば,人生では全てがプロセス.目的地よりもそこに至るプロセスが大切,ということになろうか.ベニシアさんは,スピリチュアルな分野の方では全くないはずだが,東洋の宗教について様々な本を読まれていたり,またインド人の師から瞑想を教わって以来,40年間瞑想を続けておられることもあってか,彼女の言葉にはスピリチュアルな教えと合致するものが非常に多い.視えたり聞こえたり,というのではないかもしれないが,インスピレーションが強い方のようである.
ハーブのお話の後で,Q&Aセッションがあり,それまで舞台の右端でお話をされていたベニシアさんは,舞台の真ん中に移動してお答えになった.しばらくしてから,ほんの一瞬だが,彼女の向かって右上(つまり,本人の左上)に,ガイドらしき人物の姿がみえた(気がした).修道士のような,聖人のような,ベールを被った男性の横顔が,彼女を少し上から見下ろしている様子だった.オーラにはいろいろなものが映し出されるため,一概には言えないのだが,あれは彼女のガイドのお一人ではなかったか,と思うがどうか.
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講演会の2日前には,The Iron Lady (邦題 『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』)を観た.三度目のオスカーを手にしたメリル・ストリープの演技は確かに素晴らしかったが,映画そのものは期待したほどではなかった.映画にしても,講演会にしても,なにか自分へのメッセージを含んでいるはず.映画についてはひとつ思い当たることがある.ベニシアさんのお話は総じて楽しく,笑える場面も多くて少し元気になった.講演会に出かけた意味が,「いまを生きる」以外にも何かあるとすれば,それは何だかまだわからない.