例えば,36歳の男性は循環器系統の問題でフィジカル・リーディングを受けましたが,彼には友人関係が長続きしないという悩みもありました。その原因を尋ねたところ,男性には批判精神とカウンセラーの才能があって,人々を引きつけるものもあるが,アドバイスを求められると,自分の意見を述べることにこだわりすぎていた為,援助を求められた時はいつでも,自分がどれほど知っているかに満足するのではなく,相手の役に立つことに焦点を合わせるようにアドバイスされました (Todeshi 140-141)。
また,51歳の芸術家は,人から認めてもらえない不満と孤独感を常に抱えていましたが,他の人々を認める態度を培うように言われました。自分が出すものは,最終的に自分に戻ってくるものだ,と (Todeschi 143)。
ある11歳の少女の両親は,少女はひとりで時間を過ごすことに長けており,これは天与の才であるが,他の人々ともよい仲間となるように助言されています。彼女には批判的過ぎる傾向があり,これが矯正されなければ,ゆくゆくは孤独になってしまうだろう,と。「他者の欠点を大目に見なさい。他の人々が自分自身の欠点を大目に見てくれるように」(リーディング番号2648-1) (Todeschi 142) というアドバイスが与えられました。
孤独感の原因が過去生に遡るケースをいくつか紹介しましょう。政府機関に勤務していたある女性は,他の人々といる時や混雑した場所でも,孤独感を感じることがよくありました。リーディングで,この感情のある部分は,十字軍遠征の時代に起因すると言われました。当時,家族の不在時,家を守るために留守番させられることが頻繁にあり,その時感じた寂しさを今生に持ち越しているようでした。寂しいと感じる時間を内省と自己探求の機会と捉えるように,との助言が与えられました。
31歳の女性は離婚経験者でしたが,一人でいるよりも,「一人にされる」ことを恐れるあまり,自分に全くふさわしくない人々と関わることが多かった,と指摘されました。道徳観念と責任感に欠ける男性と結婚していましたが,一人になることへの恐怖心は,この失敗した結婚だけが理由ではありませんでした。直前の過去生で探検隊に属していたとき,仲間が帰国したとき自分だけうっかり取り残されたことがありました。彼女の恐怖心は,自分を見つめ,自分の内側とつながることで克服されるだろう (リーディング番号 958-3),とリーディングは告げました。
また,53歳の男性は,人々を愛し,周囲の人々からも愛されましたが,自分から人々に近づくと,いつも人々が自分から離れてしまうと感じていました。人ごみの中にいても寂しさを感じることがあり,ひとは自分から遠のいていく,という理由で,自分も人々から離れていました。ケイシ―は彼に,この状況は彼がサクソン人だった人生で始まった,と伝えました。当時,彼は人から尊敬されることが大好きでした。「この存在(本人のたましい)は,仲間から一目置かれていた―そしてその状況を好んだのだ!しかし,それをより大きな奉仕に使う代わりに,尊敬されることを好みすぎた結果,人々はあなたのことを忘れてしまった」(リーディング番号 3544-1) (Todeschi 144)。
ケイシ―・リーディングでは,孤独の理由が,過去生・生い立ち・性質のどれであっても,自分の内側を見つめて掘り下げることで,自分が神とつながっていることに気づくようにとアドバイスされることが多かったようです。ケイシーのリーディングでは,20世紀前半当時のアメリカの精神的土壌に(霊界サイドが)配慮してか,キリスト教の「神」を指す表現 (the Creator, Christ など) が頻用されていますが,大元の神(や超高級霊としてのイエス・キリスト)というよりも,個々人を導くスピリット・ガイド(いわゆる守護霊)と言い換えるほうが適切な場合が少なくないように感じられます。
さて,今回の孤独への最後の対処法は,前回(4-2)の記事の第二の項目でもあり,冒頭に紹介したアプローチ,つまり:
自分の仕事や活動に専念して,「他の人々のために」働く
です。自分の苦しみを注視し,傷の痛みにもがき続けるのではなく,その傷から一旦目を離して,異なる苦しみを抱える人々や,広く社会のために自分ができること,または,自分のすべき事(生活の糧を得る仕事も含め)など,対外的な活動に専念する時間を持つ,ということです。孤独の悩みに対しては,自分の好きなことや楽しめること(趣味や娯楽的な活動)に時間を費やすとよい,というアドバイスがよく与えられるかと思います。趣味や好きなことをするのも悪くないでしょうが,その内容によっては,意識やエネルギーの方向性が内向きなままで変わりません。「自分以外の誰か」のために働くには,自分に向いていた意識を,外へ転換する必要があります。ここが重要なポイントです。いわゆる趣味的な楽しみは,時々するから息抜きになるのものであり,それを問題からの逃避手段にしてしまうと,場合によっては,中毒となり,抜け出せなくなる恐れがあります。アルコール,異性関係,買い物,ゲームなど,人々が中毒に陥って問題となるものは,困難からの逃避手段になったためかもしれません。
この対処法は,しかし,孤独だけに有効なわけではありません。例えば,自然災害に被災して,様々な喪失感に苦しむケースにも同様に有効です。何かの作業に没頭する時間を作って,自分の悩み・苦しみを「忘れて」しまう,というのではありません。他の人のためになる活動に取り組むことで,喜びや感謝といったプラスの波動を受け取る,ということです。この小さな喜びの経験を少しずつ積み重ねていくことで,徐々に孤独感から解放されていくでしょう。
そういう仕事や活動がない場合は,冒頭でも読んでいただいたように,自分の才能や能力を見つける機会と捉え,模索することがブレイク・スルーのきっかけとなるかもしれません。自分にできること,やってみたいことでまだしていないこと,興味・関心があることがきっと何かあるはずです。それを,頭ではなく,心で選ぶことが大切です。本気で探せば必ず見つかります。
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続き記事では,3つの提案を挙げてみましたが,これらはいずれも,孤独感の軽減や打開の「きっかけ」や「手助け」にすぎません。最終的には,自分で自分自身(才能や性質など)を(適切に)認められること,自分の内側に満足を見い出だせるようになることが必要です。それは,各自のスピリット・ガイドとのつながりを強め,内なる愛を感じられるようになることと言っても同じでしょう。少なくとも,孤独感や不幸感にのみフォーカスを合わせ,それを,自分以外の「だれか」からわかってもらい,慰めてもらうこと,または,環境が“自動的に”好転することを,何もしないでただひたすら待ち続ける,というように,外界からの援助や働きかけ,変化のみで解消することを求める限り,孤独感はいつまでもつきまとうものではないでしょうか。誰かの役に立てる自分であることを知り,行動する。そうして,少しずつ自信と自分を取り戻した時,内なる変化が起こり始めます。その内側の変化に呼応するように,周囲の環境や状況も自然と好転し始めることでしょう。
3回の続き記事では,孤独に対する,ややスピリチュアルな対処法を提案してみました。次回は,さらに一歩踏み込んで,孤独の時期が,特に精神世界(および関連分野)での学びや諸活動に直結するケースを取り上げてみたいと思います。
出典: Todeschi, Kevin J. (1999) Edgar Cayce on Soul Mates: Unlocking the Dynamics of Soul Attraction. Virginia: ARE Press.