9/16/2010

Conflict from inner sources 内面の葛藤

As man advanced on the evolutionary scale, however, his conflicts rose more and more from inner sources.

しかしながら,人間は進化するにつれて,葛藤はますます内面から生じるようになったのです.

Gina Cerminara.  Many Mansions, p. 239.


人が経験する苦労は様々ですが,病気,お金,人間関係,心労にざっと分けることができるでしょう.大抵の場合,この中のどれかひとつだけということは少なく,病気とお金,人間関係とお金と精神的な苦労,などというふうに組み合わさることが多いはずです.苦労の中では,肉体的苦痛,精神的苦痛,金銭的打撃を伴う病気こそが一番大変で,精神的な苦労は所詮,心の持ちよう一つでなんとでもなる,として軽視する人がいますが,それは正しくありません.引用はそのことを裏付けていると思います.
歴史を振り返ると,病床にあっても偉業を成し遂げた偉人は少なくありません.病床で看護制度の礎を築いたナイチンゲールなどはその代表的な例でしょう.また,お金の苦労は,大なり小なり誰にでもつきものです.お金持ちは苦労がなくて,貧しい人こそ大変だ,というのは余りにも単純すぎる捉え方です.お金があるが故に,人間関係で気苦労が絶えなかったり,借金の保証人になって無一文となり,しまいには一家離散に追い込まれた,といった話はよく耳にします.自殺するのも,肉体的な苦痛というより,いじめられていたのに誰も助けてもらえなかった,もしくは助けを求められず一人で苦しんでいた,とか,リストラされ,家族ともうまく行かなくなって,絶望した等といった精神的な理由が引き金になる人々が多いことを考えれば,孤独感の深刻さが伺えます.


故ダイアナ妃は,マザー・テレサ(およびヨハネ・パウロII世)と縁の深いたましいであるという見方があり,霊性の高い方だったようです.実際,36年の生涯において,彼女は王室へ入る前も,入ってからも,多くの苦難に直面しました.幼少期には両親が離婚し,親には愛されなかったと感じていました.婚約公表前からメディアに容赦なく追い回され(当時住んでいたフラットの向かいに部屋を借りたジャーナリストが,望遠鏡で彼女のプライバシーを覗いていたこともある),結婚式の直前にチャールズ皇太子とカミラさんの関係を知ったものの,結婚を取りやめるには遅すぎる.結婚前は好意的だった王室の人々の態度も結婚後には一変し,彼らの期待通りに振る舞えて当然,そうできなければ批判される.メディアで取り上げられることといえば,髪型やらファッションの話題が中心.目だった行動をとればありもしない事実へ曲解されては記事にされる.公務にあたれば,チャールズよりも人気があったことから,夫からは嫉妬され,彼女の意に反して,別々に公務を行う羽目になる.その一方で,夫が婚約前から懇意にしていた女性の影に悩まされ続ける.婚約時代に発症した拒食症には本人も周囲の人々も理解がなく,治療開始まで10年もかかり,二人目の王子の誕生は,女の子を切望していた夫からあからさまに落胆されるなど,ここには全て書ききれないほどです.しかし,真実を知りもせず,知ろうともせず,上辺でしかものを判断しないメディアや世間には彼女の苦しみなど想像もつかなかったことでしょう.私の知人にも「彼女ってわがままなんでしょ?」と言っていた人がいます.しかし,アンドリュー・モートン氏の著書,Diana--Her True Story In Her Own Words (生前,ダイアナ妃自身のインタビューに基づいて書かれた伝記の完全改訂版)や,死後,アメリカのテレビ局によって明らかにされた彼女の人生は,世の人々の勝手な憶測とは非常に異なるものでした.幼少期から愛を得ようとして得られなかった孤独感や心の葛藤,夫の不貞による苦しみや,まるで宮殿に幽閉されたかのような半生は,非常に苦労の多いものだったのではないでしょうか.

彼女がこの度の転生において果たしかったであろう事のひとつは,我が身を呈して(彼女が苦しんだ拒食症や夫婦関係の破綻はいずれも幼少期における愛の不足に原因があるとされる),「愛の大切さ」を世の人々に伝えることだったかもしれません.同時に,癒し手として,愛の力で,いわゆる恵まれない人々を癒すことでもあったでしょう.彼女は死後もなお,地上の様々なメディアを通じて愛の尊さを訴え続けています.(比較的若くしてこの世を去った人々は,あの世から地上に働きかけ,活動を継続することがあります). 内的な葛藤に大いに苦しむ人は,往々にして高い霊性を備えている好例かと思います.(さらに,霊性の高い人々は,自ら高い目標設定をして生きるプログラムを選ぶ傾向が強いようです.というよりも,大人であるがさらなる成長のためにハードなプログラムに挑むし,やり遂げられるともいえます.)

病いの苦しみは精神的な苦しみを伴います.しかし,多くの場合,面倒を見てくれる人がいますし,身体が病んでいるからといってたましいまで病気ということはありません.健康でありながら心が孤独であり,苦しみがあって,しかも,それを誰にも理解されないことも,大きな苦労だと言えます.

いずれにせよ,自分の苦労を尺度にして他者の苦しみを測ることは不適当であり,不可能です. 

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