なぜならば,この人生の中にこれほど多くの楽しいことがまだ隠されていたのかと,発見のつど喜ぶようになっているからだ.つまり彼は,その微細なものを見分けることができるほど,繊細で敏感な精神の高みに達しているというわけだ.
『漂泊者とその影』
フリードリヒ・ニーチェ 白取春彦編訳 『超訳 ニーチェの言葉』 p.35.
「神は死んだ」という言葉で有名なニーチェですが,無神論者だったというわけではなさそうです.当時のキリスト教哲学が,生きている人々のためになっていないのではないか,という懐疑から,独自の哲学を推し進めたようです.
さまざまな苦労を重ねた人には,独特の深みがあります.苦しみを乗り越えてきたがゆえに,日常生活の些細なことに幸せや喜びを見出せる,ということもあるでしょう.
「62 美を味わう能力」も参照ください.