12/26/2008

弱さと無知と

 「悪意」というと,とても罪なことのようなニュアンスがありますが,言葉をかえれば「未熟」であるということです.私たちは,みんな未熟です.それは,「無知」ゆえです.
 ですから,まず知(知識や知恵)を持つことが必要です.前述したように,生きるとは何か,愛するとは何か,仕事とは,恋愛とは,子育てとは,死とは何か,ということに対して,自分なりに考えて知を深め,自分なりの「哲学」を持つことが大切なのです.
 それによって,初めて私たちは,周囲に流されるのではなく,「自覚的に」生きることができます.自分の中の「悪意」を減じていくことができるのです.
 それはまた「弱さ」を「強さ」に変える作業でもあります.
 私たちは,もともと弱い存在です.だから,人を妬んだり,恨んだり,嫌ったりするのです.
 本当に強い人は,人に「悪意」を向ける必要などありません.そんなことをして自分を防御しなくても,一人で毅然と立っていられるからです.
 今までのあなたの歴史を振り返ってみてください.以前はわからなかったけれど,今はわかるようになった,ということがあるでしょう.以前の自分なら,弱くて耐えられなかったけれど,今は強くなって耐えられるようになった.そんなこともあると思います.
 人が生きる,ということは,そういうことです.
 無知を知に変えていく.弱さを強さに変えていく.もちろん,それは簡単なことではありません.けれど,まずは自覚しましょう.私たちが自分の中にある「悪意」に打ち克つということ.それはすなわち,自分の無知に気づいて,正しい知を得るということ.そして,自分の弱さに気づき,それを強さに変えていく,ということなのです.
 そのとき私たちの人生は,何事もなかったときよりずっと充実し,意義あるものへと変わります.私たちのたましいもまた,豊かに成熟していけるのです.


 江原啓之『悪意/善意』 pp. 155-6.


人生は気づきの連続ですね.

来年もいろいろな気づきを得て,実り多き一年となりますよう….

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