テレビや雑誌などでは,震災以降,「絆の大切さを感じて結婚するカップルが増えた」と報じられていましたが,私はそうは感じていません。仮に本当に増えているのだとしても,それは「絆の大切さを感じて結婚した」というだけではなく,「何かあったときにひとりでいるのはさみしい」という気持ちがもとになっている人も多いのではないかとみています。しかし,もしそうした気持ちだけで結婚したのなら,それは打算があるのではないでしょうか。小我で決断したことなら,そこに本当の絆は結べませんから,お互いに「心を失う」ことになりかねません。
江原啓之 『予言』 講談社。 pp. 123-124.
絆がなかったからこそ,その必要性を痛感し始めた,とは共感できる内容です。震災のショックから,一時的に皆で助け合わなくちゃ!という意識が多くの人々に出ていましたが,根本的には以前とさほど変わりがないようです。例えば,かつて他の場所で大震災を経験した人々は当時を思い出したくない,まだ語れない,と言って会話の話題に上げようとしません。タブー扱いです。また,被災地から遠く離れて暮らす人々も,通り一遍の関心は示しますが,それだけ,という人が多い感じがします。
本物の「絆」は,にわかには築くことができません。