近藤千雄訳.『シルバーバーチの霊訓 第1巻』 潮文社.pp. 81-82.
地上から貧困を失くし,Poverty Museum (貧困博物館)の設立を目標に掲げる,経済学者でありノーベル平和賞受賞者でもあるムハマド・ユヌス氏の働きは,霊界から非常に多くの援助を得ていると思います。グラミン銀行は,発展途上国は言うまでもなく,世界で最も裕福な国であり,格差社会でもあるアメリカに進出し,いまや三支店を構えるまでに成長しました。彼が生み出したソーシャル・ビジネスは,やがて,ビジネスの主要スタイルとして定着することでしょう。ユヌス氏は,宗教家でも霊能者でもありませんが,彼の理念(グラミン設立後のインタビューで,「貧困と惨めさの中で生きていい人間は一人もいない」と言われています)は真理と見事に合致しており,大きな役目を持って転生されたたましいであろうと思います。
メディアで報じられる様々な情報や,専門家の見解でさえ,真実でないことが少なくはありません。科学では事象の全側面を説明することができないので,知性と科学的態度を重要視する欧米先進国的アプローチが主流となっている現状では,真実に迫りきれないのは仕方がないことでしょう。
では,霊能者を通じてしか真実を知り得ないか,というと決してそのようなことはありません。人間の本質はスピリットであり,我々全員がスピリット・ガイドに守り導かれている存在であるなら,誰の言葉や思想や行いにも,何らかの真理・真実を―たとえわずかな片鱗でも―見い出すことができるはずです。
例えば,第二次世界大戦を生き延びた人々であれば,戦時中は狂気の時間であることをその実体験から知っています。わざわざ霊眼で見る必要はありません。おじいさんやおばあさんなど,戦争体験者に直接尋ねてみれば済むことです。また,専門家らも,イスラム国はやがて,一旦は崩壊することを予見しています。
霊能者でなければわからない情報―第三者の過去生や憑依による霊的な影響など―は,ごく一部です。霊能がなければ知り得ない情報など,私たちの日常生活でそうそう必要になるわけではありませんし,必要とする人々の割合もそう高くはありません。
物質文明が発達するに従い,人類の多くが,現実の物質的側面に過度な関心を向けるようになったために,もう少し霊的な側面にも目を向け,なぜこの世に生まれてきたのか正しく認識して(知って)よりよく生き,よりよくあの世に戻るように,と伝えてきています。それが人類全体の向上につながるからです。霊的なことに関心を持つということは,しかし,発達した霊能がなければ知り得ない(且つ知る必要のない)ごく一部の情報をあれこれ詮索することと同義では必ずしもありません。霊能者を特別視したり,優位に見よ,ということでもありません。
世のため人のためになる方法は実に多岐に亘っています。誰でも誰かの役に立つことができるのです。
そして,敬意は常に,愛に基づく高い志を持ち,勤勉な人びとに対して払われるべきでしょう。