1/23/2011

怖い話が好きな子ども

クラスに参加することに決めてからも,私にはまだ自分が何をしようとしているのか,まるで把握できていなかった.なにしろ,「ミディアムになりたい」などと言いながら,「あなた霊媒体質でしょ?」と聞かれる度に,「いや,違うと思います」とか「さぁ,わからないです」などと答えていたのだから.

基本的に,霊媒体質でなければミディアムや霊能者として,幽界や霊界からメッセージを受け取って伝えるという活動はできないとされる.しかし,霊媒体質であれば全員ミディアムになるかといえば,そうではない.また,霊視・霊聴が利かなくても,霊媒体質ということがある.非常に大雑把に言えば,オーラが大きく,目に見えないエネルギーをキャッチしやすい体質を指して,霊媒体質という.自分以外のエネルギー体を引き寄せやすいということだ.例えば,俳優や広くアーティストと呼ばれる人々にはこの体質が多いとされる.特に,演じるという仕事は,自分以外の個性を表現しなければならないので,不可欠な要素かもしれない.要は,そうした体質がどういう方向性に活かされるか,である.直接,霊界通信に携わってメッセージを伝えることで人々を癒したり,励ましたりするのか,演技や演奏といった芸術活動等を通じて間接的にするのか,その違いだけのようだ.

クラスに参加することにした理由はもうひとつあった.2000年に都内で,アメリカ在住の英国人ヒーラーのセッションを受けていた.リーディングとヒーリングがセットになったセッションで,リーディングでは,あなたはインスピレーションがとても強いから,訓練すればわかるようになるわよ,と言われた.彼女によれば,なんでも私は10歳くらいまでに,自分のそうした能力を自分で一旦封じ込めた,というのだ.周囲の人々のネガティブな思いをそのまま感じ取って,影響を受けてしまわないようにするためだった,と.能力を封じ込めたという記憶は全くないが,少し心当たりらしきことはあった.当時,たとえばお祭りに出かけて人ごみの中に入ると,腹痛を起こして歩けなくなったり,風邪で寝込んで1ヶ月近く登校できなかったこともあった.(行楽地に出かけたとき,拾いものをしてきたのではないか,と今は思うのだが.)そのセッションで言われた言葉も,リーディングを受けた後に思い出された.もしかするとそうかもしれない,と信じるひとつのきっかけにはなったようだ.

子どもの頃,絵画教室とピアノ・レッスンに「通わされて」いたが,特に芸術的な感性に優れていたわけではなかった。が,霊とのご縁は,意外なところに潜んでいたようだ。最初の記事に,私はブランコと着せ替え人形が好きなごく普通の子どもだったと書いた。実は,他にも好きなものがあった.

それは怖い話.

それも,ヘビ女ゴーゴンとか,ろくろ首,四谷怪談といった類いの,ステレオタイプなお化けの話.10歳の頃,風邪をこじらせて肺炎になり,しばらく登校できなかった時,ベッドの中で何度も繰り返し読んだのが,学研の子ども向けの怪談本だった.また,いつごろかは思い出せないが,お盆の時期,某民放で一週間特集番組が組まれた『●●●の知らない世界』も大好きで,毎年,母と二人でよく観ていた.怪談好きが嵩じてついには,心霊写真集にまで手を延ばした.はじめのうちは,書店の店頭に並ぶ写真集を手にとって,怖いものみたさで,頁をぱらぱらめくるだけで満足していた.が,次第にそれでは物足りなくなり,黒表紙の本を一冊買ってもらうことに.部屋で一人になって,不自然に肩に置かれた手首とか,プールの水面に浮かび上がる不鮮明な人の顔など,写真の一枚一枚,本の隅々まで一通り目を通すとさすがに非常に怖くなってしまい,本棚の奥にしまったきり,その後二度と開くことはなかった.(6年前,古本屋に出す直前にもまともに開けなかった.)

当時は,死んだ人が化けて出るという,霊現象そのものにも面白さを感じていたに違いないが,いま振り返ると,むしろ背景にストーリーがある点に魅かれていたのだと思う.なぜ女性の霊が夜な夜な現れるかといえば,それは何か伝えたいことがあるからだし,お岩さんが化けて出たのは,愛する人に裏切られた悲しみゆえといった,隠れた真相にひきつけられていたように思う.また,そうした話の多くは,勧善懲悪的な要素を含んでいたところも気持ちが良かった.相手を傷つけると必ずその償いを受け,改心して,一件落着する,という展開だ.

母とは,この点では趣味が合った.彼女は,晩年にはよく不思議な夢(特に予知夢)をみていた.ひとつは他所でも紹介したが,予知夢以外にも面白い夢を見る人だった.例えば,彼女の姉の一人が他界して暫くしてから,彼女のご主人も亡くなられた.その後間もなく,母の夢にご主人が出てきて,母の枕元に座っていた大きな犬に向かって,「こっちへ来い,こっちへ来い」と手招きしてその犬を連れて行った,というのだ.おばさんは戌年生まれだったから,あの犬は姉に違いない,と母は言っていた.おそらく,亡くなってからどこへ行ってよいかわからず,妹である母を頼ってこちら側に留まっていたものと思われる.その彼女のたましいを,亡くなったご主人が連れて行った,ということなのかもしれない.いま少し疑問に思うのは,他界して間もない人が,一足先に他界し,幽界へ行けないで迷っているたましいを導けるのか,ということ.真相は定かではないが,少なくとも,母はこういう話がわかる人であり,私にそういう世界があることを教える役目を果たしたのだろう.また,彼女は,四国巡礼中に,存在しない風景(宿泊先の庭先に,夏なのに雪が積もってみえた,と言っていた)をみたこともあった.帰省する度に母からこうした不思議な話を聞くのは,当時の私にとってひとつの楽しみだった.夢以外にも,出来事に隠された見えない意味や出来事のつながりを読み解く方法を,日常生活の中で彼女から教わっていた.いま振り返ると,彼女の存在は,私がミディアムになる流れに結びついていることがよくわかる.

人生に起こることはすべて必然だという.子ども時代に怖い話が好きだったのも,母と新倉イワオ氏の番組を真剣に見たのも,心霊写真集を買って読んだのも,母が予知夢をみる人だったことも,すべてリーディングをするために必要な出来事であり,プロセスだったのか.

心霊写真集を本棚にしまって以来,怖い話好きは落ち着きをみせた.その後,ピアノ弾きに夢中になった一時期を経て,英文科へ進学.英国史の授業を受けたことが,おそらくは,直接のきっかけとなり英国に魅せられた.その後,現在までの長きに亘り,最大の関心事は英国文化へとすっかり移行した.現在のところ,英国狂いは少し勢いを失っているが,英国への関心は英国留学として実現し,やがて予想もしなかった方法で人生での大きな転機へと結びつく.

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