3/25/2011

この世に生きること

 古代人は,現代人がほんの最近知りはじめたばかりのこと,つまり人生と人生のあいだにある中間世こそが私たちが本来帰っていく故郷であり,そこから私たちは肉体にやどる困難な旅にあえて出てきたのだ,と知っていた.マンリー・P・ホールは『死から再生へ』のなかで,肉体をまとって生まれてくるときの経験を,潜水夫が重たい潜水服を着て,いま味わっている気持ちのいい光やさわやかな空気をあとに,これから命綱をたよりに海底へと降りていくのにたとえている.

 「重たい潜水服は肉体で,海はいのちの海である.生まれるとき人は潜水服を身につけるが,その霊はつねに命綱で上方の光へとつながっている.人間は隠された叡智という財宝をみつけるために悲しみと滅びの海の深みへと降りていく.なぜならば経験と理解はひじょうに高価な真珠であり,それを手に入れるため,人はすべてのことに耐えねばならないからである.宝が発見されるか仕事を終える時がくれば,彼はふたたび船に引き上げられ,重い装備をはずし,新鮮な空気を吸ってまた自由を満喫する.賢人たちは,我々が“生”と呼ぶこのできごとが海底へのほんの一度の往復にすぎず,われわれがすでに何度も下降したことがあり,また財宝を発見するまでこれから何度も潜らねばならないことを知っている.」

J. L. ホイットン他著 片桐すみ子訳『輪廻転生 驚くべき現代の神話』 pp. 26-7.

★マンリー・P・ホール 神秘哲学の学者・著述家.1943年アメリカのロサンゼルスに哲学探究協会を設立.数万冊の神秘学関係の書物が蒐集されたこの協会の図書館は一般に公開されている.その膨大な文献をもとに書かれた著作は小冊子をいれて二百冊におよび,東西の神秘学の真髄を世に伝えた.(訳注 p. 259)



薄暗い海底での生活が思いのほか快適だと,自分が宝探しのために潜水していることすら忘れてしまいがちになるでしょう.その状態で海の上へ引き揚げられると,混乱が生じたり,事態をなかなか呑み込めないという状況に陥り,光の世界に慣れるのにさらに長い時間を要することになります.

なかなか難しいことではありますが,「いま自分は,実は,海底にいて,宝探しをしている最中なのだ」,と意識して生きることが大切になります.

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