8/13/2008

道なき道

 誰にも心当たりのことがあるのではないでしょうか.私たちは,いろいろなハードルを乗り越えるようになっていますが,なかなか越えがたいハードルの前で,立ち往生してしまうことがあります.いわば,階段の踊り場にいるような足踏みの状態が続くことです.
 単なる困難というわけではない.何をどうしたらよいのか見当もつかない.前に進むことも後に退くこともできず,立ち止まることもできない.そんな時は,魂として,初めてのステップにさしかかっている時かもしれません
 容易に乗り越えることのできる壁と,乗り越えられない壁の違いは,それだけで意味があるのです.かつて過去生の経験で到達できたところまでは,人はそれといった苦労なく上がってゆくものです.魂の力とはそういうものだからです.
 けれども,それ以降,そこから先は,その魂にとって「道なき道」となるのです.過去生にも一度も取組んだことのない,未経験の道のりです.
 それは,簡単には乗り越えることはむずかしい,けれども同時に,どうしても取り組まなければならない,人生をかけた願いでもあるのです.
 自分ではどうにもならないような状況につき当たったとき,私たちはそのことを思い起こしてみる必要があるでしょう.今,自分の魂が初めての試練にさらされているのだと受けとめることです.そして,「道なき地点」に立って,そこから新たに道をつけてゆくことが,私たち一人ひとりの人生の醍醐味であるという気概をもって,いつも人生の難所に向かい合っていたいと思うのです.
 何も頼りとするもののない地点に立つことを,私たちはただ恐れてはならないのです.そのときこそ,新しい人生の扉を開き,次なる段階へと歩を進めるチャンスに他なりません
 今取り組んでいる問題は,現実的に具体的に解決してゆかなければならないことであると同時に,永遠の問題,私たちの魂が永遠の眺めの中で,はじめて解決できる問題を含んでいるのです.
 その問題を解決するということは,私たちに小さな満足を与えるに止まるものではなく,魂の願いを果たすことになるのです.それはいく転生もかけて,一段一段踏みしめてきた「人生の階段」を新たに切り拓くことなのです.
 この人生に生まれてきた意味は,まさにそこにあります.「道なき地点」に立ったときに初めて,本当の人生が始まる―.私たちは誰もが道なき地点に立つ為に生まれてきた魂の挑戦者であり,冒険者です.


高橋佳子 『人間の絆 自業編』 pp. 247-49.



0 件のコメント:

コメントを投稿

2025年は大きな転換期

2025年7月5日(土)の早朝(夜明け前),フィリピン沖の海底火山が噴火して,周辺国と日本の太平洋沿岸に巨大津波(120mほど)が押し寄せ,国土の1/3から1/4 が津波に呑まれる,という予知情報があります。最初にこれが注目されたのは,下にも関連動画のリンクを貼っていますが,たつ...